FXや自動売買(EA)の世界で、しばしば話題になるのが
「ナンピン」や「マーチンゲール(以下マーチン)」といった手法です。
「危険」「破綻する」「初心者は手を出すな」といった
ネガティブな声も多く、実際に多くの口座がナンピンや
マーチンでロスカットされているのも事実です。
しかし、その一方でこの手法をうまく活用し、
安定した利益を上げているトレーダーやEAも存在します。
この記事では、ナンピン・マーチンの基本から、
そのメリット・デメリット、そして
「破綻を避けるための境界線」について解説します。
ナンピンとは?
ナンピンとは、含み損のポジションに対して同じ方向で
追加エントリーを行い、平均取得価格を有利な方向にずらす手法です。
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例:買いでエントリー後に価格が下落 → さらに下で買い増し
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平均取得価格が下がり、少し戻れば利益確定ができる
マーチンとは?
マーチンは、ナンピンの「ロット増し」バージョンです。
負けるたびに次のエントリーのロット数を倍にしていくことで、
どこかで1回勝てば、それまでの損失をすべて回収できるという仕組みです。
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例:0.01 → 0.02 → 0.04 → 0.08…
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損失を一撃で取り返せる「破壊力」が魅力
ナンピン・マーチンのメリット
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勝率が非常に高くなる
レンジ相場であれば、ほぼ必ず戻るため、ポジションが救済されやすいです。 -
少額からでも利益を積み上げやすい
含み損を抱えつつも最終的にプラスで終われるため、コツコツと利益を積み重ねることが可能です。 -
EAとの相性が良い
ロジックさえしっかりしていれば、自動でナンピン・マーチンを行い、人間の感情を排除できます。
では、なぜ「悪」と言われるのか?
結論から言えば、「破綻リスクが高いから」です。
マーチンは「いつか戻る」ことを前提にしていますが、
トレンド相場で逆方向に大きく動き続けると、
ナンピンを続けた結果、証拠金が持たずにロスカットされます。
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例:5連敗した時点でロットが32倍、10連敗では1,000倍以上
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たった一度の相場変動ですべての利益が吹き飛ぶ可能性がある
破綻しないための「境界線」
ナンピン・マーチン戦略を使うなら、以下のような制御が重要です。
① 最大ポジション数の制限
無限ナンピンは厳禁。最大何段まで打つか、最初に決めておく。
② ロットの増加比率を緩やかにする
1.2倍、1.3倍など、いきなり倍にしないことで資金管理がしやすくなる。
③ 高精度なフィルタを入れる
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トレンド時はポジションを取らない
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RSIやADXなどを活用して“地合い”を判別する
④ 口座破綻シミュレーションを行う
過去相場で「最悪のケース」を想定し、耐えられるロット・ナンピン間隔を検証する。
ナンピン・マーチンは「道具」である
ナンピンやマーチンは、それ自体が
「良い」「悪い」というものではありません。
包丁や車と同じで、「使い方」を誤れば危険な道具になりますが、
正しく使えば非常に効率的な武器になります。
短期的に勝率が高く、安定感があるからこそ、
多くのEAやトレーダーが好んで使うのも事実。
問題は、その裏に潜む「破綻の可能性」を
どれだけコントロールできるか、に尽きます。
まとめ
ナンピン・マーチンは、一見すると「ずるい手法」
「ギャンブル的」と見られがちですが、
リスク管理さえ徹底すれば、非常に優れた戦略にもなり得ます。
「自動売買=マーチンは危険」と一括りにするのではなく、
しっかりとしたロジックと資金管理のもとで、
安全に運用できるように設計することが、
“プロのEA使い”への第一歩と言えるでしょう。