EA開発のはじまりと、現実とのギャップ
EA(自動売買プログラム)を作り始めた頃の話です。
まだ右も左も分からなかった頃、僕はMT4(メタトレーダー4)を
前にして、何十本ものEAを試作していました。
コードを書いてはバックテストを回し、
グラフの山や谷をじっと見つめる─、そんな毎日でした。
時間を忘れるくらい夢中になっていて、
「この組み合わせなら勝てる」
「このタイミングなら反転を取れる」
と、パラメーターをいじり倒しては、ひたすら
過去のチャートに合わせて調整していました。
そして、ついに出るんです。
完璧に近い右肩上がりの損益グラフ。
「これだ!」と膝を打ち、「ついに完成した」と小さく
ガッツポーズを取った自分が、今も鮮明に思い出されます。
リアル運用で突きつけられた現実
ところが、いざそのEAをリアル口座で動かしてみると……
「あれ?バックテストと全然違うじゃん…」
何度も設定を見直しては、挙動をチェックしました。
でも──おかしい。
エントリーのタイミング、損切りの位置、決済の遅れ。
どれも「想定通り」に動かない。
原因1:スプレッドの壁
バックテストでは、固定スプレッドが前提です。
でも、現実はそんなに甘くない。
- 経済指標の発表時
- 東京市場の始まり
- ロンドン・NY時間の切り替わり
こういったタイミングでは、スプレッドが一気に広がる。
その結果、エントリー価格がズレたり、コストがかさみます。
「勝てるはずのトレードが、勝てない」
という経験を何度も味わいました。
原因2:スリッページと約定拒否
バックテストは理想の世界。
クリック=即約定。
でも現実は、
- 注文が滑って、不利な価格で約定(スリッページ)
- 注文そのものが通らず、エントリーが無効化(約定拒否)
特にボラティリティが高い相場では、
「入るつもりだったのに入れてない」現象が頻発しました。
原因3:カーブフィッティング(過剰最適化)
これが一番、痛かった。
バックテストの結果を良く見せようとして、
特定の期間だけに最適化したパラメーターを使っていたんです。
それは、まるでカンニングペーパーを元に試験を受けているようなもの。
過去には強い。
でも、リアルタイムの市場には通用しない。
つまり──
「過去にだけ強いEA」を作ってしまっていた、というわけです。
EAって、幻想なのか?
この頃の僕は、かなり追い詰められていました。
「EAって、幻想なんじゃないのか?」
そう思ってもおかしくないくらい、
現実と理想のギャップにショックを受けていた。
世に出ているEAの多くが、
- インジケーターを何重にも重ねて、
- それっぽい見た目のロジックで、
- 実際には通用しない仕上がりになっている
そんな中で、「本当に使えるEA」はどこにあるのか?
僕は、次第にある結論に至っていきました。
僕の結論:だから、自分で作る
「既存のEAやインジケーターに頼ったトレードは、もう信用できない」
それなら、自分で作るしかない。
- 自分のトレードルールを言語化し、
- 自分でロジックを設計し、
- 自分の手で動かし、
- 結果にも責任を持つ
そうやって生まれたEAなら、たとえ失敗しても納得できるし、
改善の道も見えてくる。
僕にとってそれが、「本当に信頼できるEA」の条件でした。
Tenrei──“幻想”を“信頼”に変えるために
Tenreiは、そんな僕の挑戦の中で生まれたEAです。
「幻想かもしれない」という不安を乗り越えて、
「信じられるものにしたい」という思いで作った。
単に勝てるかどうかじゃない。
自分の意志をロジックに乗せて、形にする
その手応えを、Tenreiという名前に込めました。

EAに失望した自分が、もう一度“期待”を込められるもの。
それがTenreiです。



